『異国物語』「木蘭皮国」より

木蘭皮国

 大食国の西に大海があり、そのさらに西に国々がある。その数は限りない。国々のうちで木蘭皮国までは、人が行き着くことができる。
 昔、陀盤というところから出帆した人は、西へ行くこと百日にして、一艘の船に遭遇した。それは木蘭皮国の船で、数百人が乗り組み、酒・肴・もろもろの器物が積み込まれてあった。

 木蘭皮国では巨大な植物が生育し、麦一粒の丈が三寸、瓜の周囲が四五尺あり、柘榴の実の重さ五斤、桃は二斤もある。
 風変わりな羊がいて、背丈は三四尺と普通だが、春に腹を裂いて数十斤の脂を採り、その傷を縫っておくと元通りに蘇る。縫う糸に特殊な薬を塗るという。
あやしい古典文学 No.1860