『異国物語』「訶陵国」より

訶陵国

 真臘国の南に「訶陵国」がある。
 人家ははなはだ広大で、棕櫚の皮で覆って屋根とし、象牙を敷き詰めて床とする。
 柳花でもって酒を造る。手でじかに持って物を食う。

 この国の人の体には毒があって、他国の人が同宿すると、その体に瘡を生ずる。この国の女人と交合すれば、かならず死ぬ。
あやしい古典文学 No.1875