『異国物語』「注輦国」より

注輦国

 西蕃の南、南天竺の内に「注輦国」がある。

 この国には、六万頭もの超巨大な象がいる。
 人々はみな象の背中に家を作って住む。金銀を銭として通商しつつ、家の中に武勇の兵をたくわえて戦いに備えている。
 しかし、人々の心はまとまっておらず、食物も器物も、すべて個々別々に所有するとのことだ。
あやしい古典文学 No.1876