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『諸家随筆集(さたなし草)』より |
でんぽう鮫 |
この八九月ごろ、三河国知多郡横須賀の海に、首筋の太い大柄な人のようなものが現われた。真黒な耳がピンと立ち、目と口が大きく、鼻はなかった。 両手を上げて漁船などに向かってきたが、怪我した人はなく、やがて去って、その後の行方は知れない。 熊野浦の人に尋ねたところ、「『でんぼう鮫』というものではないか」とのことだった。 |
あやしい古典文学 No.1895 |
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