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佐藤成裕『中陵漫録』巻之三「異鷄の談」より |
異鶏 |
羽州米沢の某村に生まれた人は、みな雉(きじ)を食することができない。もし誤って食すると、たちまち腹痛に襲われる。 また、兎を夢に見た人に病を生ずる島がある。島民は、兎を「御耳長様」と呼び、神として畏れる。 この類のことは、諸国に多くある。 甲州に鶏谷というところがある。 そこでは、自然に鶏が生ずる。人には飼育できない鶏で、獲ってきて家で飼っても、固形物を喰わず、ただ水を飲み、二三日で死んでしまう。その点で異鶏だが、形や色は普通の鶏に異なるところがない。 思うに、『本草綱目』に、クイナの一種として、「大きさは鶏ほどで長脚と紅冠をもつ。雄は大柄で褐色、雌はいささか小柄で斑の鳥毛」とある。その類の鳥であろう。 |
あやしい古典文学 No.1921 |
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