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本島知辰『月堂見聞集』巻之十より |
蕪を食え |
享保四年正月二十九日の夕暮れ、大阪の町中で、誰からともなく、 「今夜十二時までに、蕪を食うべし。食わないと疫病に罹って死ぬ」 と言って、家々ごとに蕪を求め、わさび下ろしで下ろして、湯にとかして飲んだ。 そのうち青物屋でも蕪が払底したため、一つが銭二百文・三百文で買われた。それも限りがあったので、しまいには干し蕪を湯で煮て飲んだ。 このこと、大阪じゅうで同時に言い出したのも奇怪である。 |
あやしい古典文学 No.1923 |
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