木崎タ窓『拾椎雑話』巻二十四より

越後の海坊主

 延宝七年、越後高田城主 松平光長様の家中にて、御家騒動が起こった。

 二年後の天和元年、越後高田藩は改易。
 そのとき、海坊主というものが越後の海岸に這い上がった。目も耳もない人の形で、見たこともない奇妙なものだった。
あやしい古典文学 No.1927