『妖怪門勝光傳』より

青蛇・蟒蛇

 道を行く途中、山林またはちょっとした木陰で休むとき、にわかに眠気に襲われた時には、気をつけないといけない。
 なぜなら、その眠気は、梢にいる大きな青蛇が術をかけたものだからだ。ぐっすり眠ってしまうと、蛇は下りてきて、足の親指の爪のところから血を吸う。
 家の中でも、青蛇は棟に上って術をかけてくるから、油断はできない。

 また、蟒蛇(うわばみ)も眠気を誘って、眠った人を呑むことがある。
 蟒蛇に追われるときは、後ろを振り向いてはいけない。見ると必ず蛇気に犯される。
 森林があったらその中に逃げ込み、木の間をジグザグに行くとよい。そうすれば、追走が思いのほか手間取る。
 逃げようがないときは、刀を抜いて額に当て、袖で顔を覆っているとよい。蟒蛇は呑むことができない。それでも顔を覆っていないと、毒気にやられてしまう。
あやしい古典文学 No.1944